嶋村先生からのメッセージ
*シュタイナー教育で繰り返しにじみ絵に取り組むのはなぜ?
繰り返しのリズムによって心と身体が育まれるから。水に関わりながら色を塗っていくことで生命 力が活性化される。繰り返しによってより効果的になる。
画用紙の上でキラキラと反射する光や流動する色、変化する色、美しい色との出会いによって描く喜び、楽しさを体験する。心が解放されて内面の思いが吐露される。繰り返しとそのリズムを通して感情が育ち調和されていく。
幼い子どもは水遊びが好き。人間の体の水分量は、新生児は80%、幼児は70%、大人は60%。水は命の営みに不可欠。
水彩は、「水と私が一つになる」、「色が流れていく自由さ」がある。
水の輝きは光の輝きのとも言える。(レンブラントや印象派の作品のように)
にじみ絵(ぬらし絵)は色と光の体験。
にじみ絵を繰り返すことで一つひとつの体験がエーテル体に刻印されていく。それは身体の記憶となっていく。身につく。教え込まなくても繰り返しによって習得していく。
*「健康」にはバランスが大切。病の克服はバランスを取り戻すこと。
美しいことは道徳的。禁止や戒めではなく、魂の善なる体験。
*私たちは自然の一部、人間が傲慢にならないために、自然との共生を大事にする。この幼稚園のように周りに緑があるのは良い。
幼児には整えられた環境が必要。
*困難を克服するということは、生命力を強めることにつながる。
*子どもが喜びの中でぬらし絵を体験できるようにする。
無から有を生み出す、新しいものを作ることは神様と同じ行為。
*何もないところに色を描く(生み出す)のは創造行為。
初めてすることを毎日5分間続けていくと、3カ月で新しいことができるようになり、
新しい自分が生まれてくる。「毎日の5分間の行」と言われている。無から有を生み出す行為であり、シュタイナーが薦めている。
1か月目:最初はつらい。(エーテル体は形作る力を持っている。その見えない力に
新しい体験が浸透していくまで、先ずは3週間かかる)
2か月目:慣れてくる。
3か月目:身についてできる。「私は〇〇ができるんだ」と実感する
新しい私になれる。新たなるものを生み出すことができる。=芸術行為
肉体が老いに向かっていても、新たに生き続けることができる。
*ピンク(薄い赤)は人生の曙の色。人生をスタートした幼稚園児にふさわしい色。
*2才位の子に対して・
・色の影響を受けすぎないよう、絵具を薄めにしてあげるとよい。
・疳が強い子には、赤い絵の具を薄めにして与える。
*3歳前は感情や思考の領域がまだ未発達。思ったことが行為に直結してしまう。これは良くないからしないとか、こんなことをしたら相手は痛いだろうからしないと考えたり思ったりする前に行為してしまう。例えば、他の子どもが持っているおもちゃが欲しいと思ったら直ぐに、その子をぽかっとたたいておもちゃを取ってしまったりする。 そんな時「ダメ!」と𠮟らないで「これが欲しかったのね」と代弁してあげて、どうするかを手本で示す。「貸して」とか、「叩いてごめんね」と言ったり、「痛かったね、ごめんなさい」と言いながら叩かれたところを優しくて撫でてあげる
*「クレヨン画の日」、「にじみ絵の日」と曜日を決めて取り組むと一週間のリズムができて良い。子どもにどちらにするかを選択させるのではなく導いてあげる。しかし何かトラブルがあったとき、クレヨン画を描いて気落ちをリセットさせたり、水彩画を描くこともできる。つまづきを克服する力へと導く。
*3才位の子に対して
・3歳で感情の領域が発達する。色は感情に作用する。
・にじみ絵を描いている時、色の世界に没頭しすぎると、色の影響を強く受けてしまう。
そんな時は「ほら、お空見て」などと言って、気を紛らわせてあげる。
*クレヨン画はにじみ絵とは別の体験。クレヨン画は線描で体と意識の発達、体の構造を描きだす。円を描いている時は、右回りか左回りかを観察したり、始点と終点を意識して観るといい。
・3歳前の子どもの描く円形は隙間があって閉じていない。大泉門は2歳頃に閉じる。
私という意識がまだ途上にある。横線や縦線を描く。腕の動きを自由に使える。
3歳になるとしっかりとした縦横の線や十字を描き、自我意識の発達が見られる。
*下の兄弟が生まれて不安定な気持ちを抱いている子に対して。
虹のアーチが途切れていたり、縦線が揺らいでいるなどの表現がにじみ絵の中に現れて
いることがある。寂しさを感じている子がそういう絵を描くことがある。そんな時、
お母さんは「赤ちゃんは何もできないから私がお世話しているの。私もあなたといつも一緒に居たいけれどもできなくてごめんなさい。○○ちゃん大好きよ」というようなラブコールを大切に!
・カモミールでの湿布、抱きしめてあげたり、手遊びでふれあいの機会を作る。
*にじみ絵で、子どもが年中になると、アーチの形がしっかり描ける。
年中 の頃の子どもが描く色は、天界(生まれる以前の世界)の記憶であることもある。
にじみ絵には境界線、輪郭がない。天界、精神世界では魂は融合していて境界線がなく、区別がない。
*自閉傾向のある子供に対して
・作品に筆の金属部分の跡が残る(力のコントロールが難しい子ども)に対しては、子ど
もの手の甲に筆で優しく撫でるようにタッチし、優しく使うことが感じられるようにして伝える。
・自閉傾向の子どもには青が共感される。補色の明るい色(黄色・オレンジ)が
内面に感じ取られるといい。(幼い子は補色を大人より強く感じる)
・先生が青色を身につけたり、青い遊び布を用意することもいい。周りを青い布で囲むと安心感がある。
・トランポリンをすると落ち着く。(トランポリンは天と地をつなぐ行為)
・自閉症である子どもの内に「自分の願いを果たすために、どんな意志や願いを携えて生まれてきたのか」を洞察する。その子に愛情を持って、よい面に目を向ける。「天使のスパイラル」
*妊娠16日頃に母親に辛いことやショックなことが起こると、胎児はこの世界に来てよかったのか?」と感じる。親がしてあげられることは、「私はあなたを愛している」「あなたはかけがいのない人」、という思いを持って、肯定的な日記をつけるなど。
*人は亡くなると物質である肉体は無くなるが、精神としての願い・希望・意志は残る。
それらを、次にこの世に生れてくる時に、宝箱に入れて「今生で果たしたい願い、希望、意志」として携えてくる。
*親も教師も子どもの傍らにいる時には、子どもへの畏敬の念と愛を持ち、
子どもたちがそれぞれ大事な課題を持って生まれてきていることを認識する。子どもの問題は私の問題でもあり、それぞれの子どもからたくさん学べることを知る。